想像してみてください、時間を止める力を持った勇者を主人公にしたら、どんな物語が飛び出すだろうといつもワクワクします。私はこういう設定が大好きで、まず最初に試すのは“力のルール化”です。
時間停止にどんな条件や代償を付けるかで物語の性格が大きく変わるからです。たとえば短時間だけしか止められない、使うたびに記憶を少し失う、心身に負担がかかる、あるいは周囲の特定の物質や魔法に干渉されやすいといった制約を設けると、勝手にドラマや葛藤が生まれます。私は制約を一つ入れてから、その制約に対する創意工夫や戦術をキャラに考えさせるのが楽しいです。戦闘シーンもそうですが、日常パートでの“ちょっとした悪戯”や“秘密の修復作業”が物語を温かくも切なくすることがあります。
具体的には、ファンはよくこうしたアイデアを試します。まずはハイコンセプトのスリラー系:時間停止を使った完璧な強盗や暗殺未遂、そしてそれに対する調査側のカウンター。検証すればするほど世界観の穴を埋めたくなって、私は敵側視点の章を挟んだりして、力の存在が社会にどう影響するかを掘り下げます。次に人間ドラマ系で、時間停止がもたらす孤独や倫理問題、たとえば止めた世界で他者にどう接するか、同意の問題、被害者の視点をきちんと描くことで単なるチート話から一段深いものになります。ロマンス作品としては、時間を止めてしか交わせない会話やスローな関係構築、あるいは“時間が動く世界でだけ本当の感情が見える”という
逆説的な演出も好きです。私はときどきコメディに振って、時間停止の“生活の不便”を笑いに変える短編も書きます。
表現面では実験が尽きません。章を「止まっている時間」と「動いている時間」で交互に書いたり、全編を一人称の独白にして停止中の微細な心の動きを克明に描く手法が効果的です。他には、技術的な緻密さを出すために“ルールブック”的な導入を作り、読者にルールを先に理解させることで後のフェアな展開を保証するやり方もあります。時には『ジョジョの奇妙な冒険』的なビジュアル優先の戦闘描写や『シュタインズ・ゲート』のような因果関係の編み直しを意識して、タイムストップを時間改変の一要素として扱うこともあります。倫理・心理・戦術・演出、このどれを主題にするかで作品のトーンが変わるので、私はいつも複数の短編でテーマを変えながら遊んでいます。結局、時間停止勇者のフィクションは“力の魅力”と“その代償・結果”を天秤にかける遊びで、そこから生まれる意外な展開や人間描写が一番の楽しみです。